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大腸がんの患者の検体を使ってDNAのメチル化を検出するキット=理研ジェネシス提供

 進行・再発性の大腸がん患者のより良い治療薬を選ぶために、遺伝子の働きを抑える「DNAメチル化」の状況を調べる世界初の検出キットが、国内で販売される。理研ジェネシスが東北大学と共同開発し、厚生労働省が6月下旬、製造販売を承認した。同社は公的医療保険の適用をめざし、保険収載に合わせて販売を始める予定だ。

 大腸がんの患者は増加傾向にあり、国立がん研究センターによると年間に診断される人は15万6千人。亡くなる人は年5万2千人で、女性では部位別で最も死亡者数が多い。

 大腸がんの薬物療法では、がんの原因遺伝子ごとに分子標的薬が使えるようになってきた。だが、分子標的薬はすべての患者に効果があるわけではない。例えば、「抗EGFR抗体薬」は、がん遺伝子の一つ「RAS遺伝子」に変異がある人は効きにくい。ただ、この変異がない人でも一部にしか効果が見られない。薬の効果を精度の高い方法で予測ができれば、患者の負担が減り、より効果が期待できる治療を選べる。

 分子標的薬が効きそうな患者を早く見極める目安として、東北大の研究チームはDNAのメチル化に着目した。遺伝情報を含むDNAにメチル化という化学的な変化が起きると、メチル化した部位の近くにある遺伝子の働きが抑えられる。

 大腸がんの一部の患者では…

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